翻訳:安積 美記、 竹内 幹、大谷 誠
Translation: Miki Asaka, Tadashi Takeuchi, Makoto Ootani
ロニー・ル・テクロはまさに生まれながらのミュージシャンで、TNTの創立者でリーダー、ギタリストとしてよく知られています。
若い頃にラウフォス (オップラン県のヴェスト・トーテン市にある街) に移り住み、一時期トロンハイムに住んでいた1982年から1985年の期間以外は、ずっとそこに居を構えています。
30年以上にわたり、ロニーはロック・へヴィーメタルの分野において最も影響力のあるギタリストの一人であり続けています。
ロニーにはトレードマークともいえるプレイテクニックがあります。「マシンガンピッキング」と呼ばれるものです。彼の独特な作曲スタイルにより、ギターソロのパートはまるで曲の中に「もう一つの別の曲」として存在しているような、とてもメロディアスで感情豊かなものとなっています。リズムの点においても、まるで限界などないような発想をもっています。
ロニーはとても特徴的な歌声の持ち主でもあります。音楽にあらゆる色彩を与え、一聴してわかるメランコリーな響きがあります。
「Guitar Player」誌で、ロニー・ル・テクロは1989年の世界のTop10ギタリストにランキングされていました。2009年2月においてもTop25ギタリストにランキングされています。
2019年3月の「Guitar World」誌では、最新のTNTのアルバム「XIII」 (Frontiers)の曲の解説記事で特集が組まれています。
1977年、14歳の時、ロニーはRockfireというクラシック・ハード・ロック・バンドでギターを弾き始めました。
バンドはその後Roquefireと名前を変え、1981年に「The Island of Marat」と「(Heavy) Boys Don`t Cry」というシングルをリリースしています。公式には1982年に解散していますが、2014年に「Roll With Your Demons」というアルバムをリリースし、ノルウェーや世界市場で高い評価を受けました。
(Heavy) Boys Don`t Cry
https://www.youtube.com/watch?v=koHXGaCP1v4
Roll With Your Demons
https://www.youtube.com/watch?v=EbXJjIq5ydo
「彼は汚れた皿でいっぱいのシンクの中で輝いているシャンパングラスのようだ」
音楽プロデューサーのトール・ルネ・ハウゲンは14歳のロニーの演奏を初めて聴いた時にそう感じたと語っています。
ロニー・ル・テクロはとても多作でアクティブなミュージシャンで、ソロアルバムや他アーティストの活動にも参加しており、例えばノルウェーの有名なギタリストであるテリエ・リピダルとの共作も多く制作しています。テリエ・リピダルとは「Rypdal/Tekrø」「Rypdal/Tekrø II」といったアルバムをリリースしています。ロニーは1990年代にはVagabondというバンドでも曲を作っていました。
1982年からのキャリアの中で、ロニーは様々なプロジェクトで、また多くのミュージシャンと28枚のアルバムを制作しています。以下に、代表的なものをいくつか挙げます。
「Just A Smile」/ 「We Love the Woods」 (1994年8月4日リリース)
「Extra Strong String」 (1998年8月4日リリース)
「Under The Mistletoe」 (EP) (2002年12月18日リリース)
「Magica Lanterna」 (2002年4月11日リリース)
「Kingdom Of Norway」 (2007年9月17日リリース)
「Mein Amph」(2014年11月24日リリース)
「Mein Amph II」(2015年9月25日リリース)
もちろんTNTの13枚のスタジオアルバムも忘れてはなりません。
ロニー・ル・テクロはTNTとして、「Tell No Tales」で1987年の「スペルマン賞(ノルウェーのグラミー賞)」の年間最優秀ロックアルバム賞を受賞しています。また、2000年には「Oppland Fylkeskommunes Kunstnerstipend(ノルウェーの芸術協会の賞)」を受賞しています。2001年には「Vestre Totens Kulturpris(ヴェスト・トーテン市文化賞)」も受けています。
「ル・テクロはどんな道具を手にしてもメロディとリズムを創り出す真のアーティストだ」
ヤン・ダール- (Rock and Roll Dreams)
ロニーは、ジミ・ヘンドリックスやウリ・ジョン・ロート、ブラック・サバスの伝説的ギタリストであるトニー・アイオミから音楽的影響を受けたそうです。フランク・マリノ&マホガニー・ラッシュや、カンタベリー系ではスティーヴ・ヒレッジなどの影響も受けています。
プログレッシブ・ギター・バンドのアラン・パーソンズ・プロジェクトの創始者であるイアン・べアンソンはもちろんのこと、イギリスのソングライターでビー・バップ・デラックスのギタリスト&シンガーのビル・ネルソンも、彼のお気に入りで大きな影響を受けたアーティストです。また彼は1920年代の音楽のファンでもあります。
オスロ生まれでありながら、彼が「Guitar God-Alien」と呼ばれる所以は、こうした背景で十分説明がつくでしょう。
ロニー・ル・テクロ、「Guitar God-Alien」は「Hjalmar(ヤルマール)」という漫画のキャラクターでもあります。
2017年の夏、漫画の作者のNils Axle Kanten から「ここまでの音楽のキャリアで一体何本の弦を使ったか?」と聞かれたロニーは「わからない」と答えています。
「…でもまあ、33,718本ってことにしておこうかな」
現在、ロニーはTNT以外の活動で他のアーティストと精力的な活動を続け、自らのミュージシャンとしてのステップアップを惜しまないアーティストとして活躍し続けています。